判断基準と管理基準 改正省エネ法
改正省エネ法の判断基準と管理基準について
判断基準と管理基準
「判断基準」とは省エネ法第5条に定められたもので、事業者がエネルギー使用の合理化を図るに当たって、具体的に取り組むべき事項を国が定めたものです。省エネ法は、エネルギーを使用して事業を営む者すべてに、判断基準に基づいて適切に省エネに努めることを求めています。
この判断基準の中で、事業者自ら管理基準(エネルギーの管理マニュアル)を策定するとともに、特定事業者、特定連鎖化事業者には定期報告書で毎年エネルギーの使用実績や判断基準の遵守状況を国に報告することを求めています。
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判断基準の意義
判断基準は、事業者がエネルギー使用の合理化を図るに当たって、具体的に取り組むべき事項を国が定めたものです。
事業者は、この判断基準に基づき、エネルギーの使用の合理化に係る取組方針や管理基準を作成し、エネルギー使用の合理化に取り組まなければなりません。
特定事業者(又は特定連鎖化事業者)が毎年国に提出する定期報告において判断基準の遵守状況を記載することが求められています。
この遵守状況が著しく悪い場合には合理化計画の作成指示などの法的措置がとられることがあります。
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判断基準の構成と内容
?法改正に伴う判断基準全体の構成の変化
判断基準は、従来と同様に基準部分と目標部分とに分かれています。
今回の法改正により、基準部分と目標部分、双方において、事業場(専ら事務所その他これに類する用途に供する工場等)と、工場(専ら事務所以外の工場等)に分けて基準が定められました。
また基準部分の前段には、事業者が設置している工場・事業場等を俯瞰して、事業者全体として取り組むべき基準が定められました。
目標部分には、法が工場単位から事業者単位に法改正されたことに伴い、事業者全体とてエネルギー消費原単位を中長期的にみて年平均原単位1%以上改善することが定められました。
■現行の判断基準の構成
? エネルギーの使用の合理化の基準
1 燃料の燃焼の合理化
2 加熱及び冷却並びに伝熱の合理化
3 廃熱の回収利用
4 熱の動力等への変換の合理化
5 放射、伝導、抵抗等によるエネルギーの損失の防止
6 電気の動力、熱等への変換の合理化
? エネルギーの使用の合理化の目標及び計画的に取り組むべき措置
努力目標:原単位年平均1%以上低減
1.エネルギー消費設備等に関する事項
2.その他のエネルギーの使用の合理化に関する事項 |
↓
改正
↓
■改正後の判断基準の構成
? エネルギーの使用の合理化の基準
前段:事業者が設置している工場・事業場を俯瞰して取り組む内容
1.工場等であって専ら事務所その他これに類する用途に供するものに関する事項
2.工場等(1に該当するものを除く)に関する事項
? エネルギーの使用の合理化の目標及び計画的に取り組むべき措置
努力目標:事業者全体で原単位年平均1%以上低減
1.エネルギー消費設備等に関する事項
?専ら事務所に関するもの
?その他の工場等に関するもの
2.その他のエネルギーの使用の合理化に関する事項 |
?判断基準の基準部分:事業者として取り組むべき事項
今回の法改正により新しく規定された基準部分における事業者として取り組むべき事項は下記の
ア〜カまでの6項目です。
事業者として定めるエネルギー使用合理化推進のための取組方針には事業者全体としてのエネ
ルギー管理組織や体制、省エネの目標、省エネ設備の新設、更新等に関する事項を規定してくだ
さい。
この取組方針と次に述べる管理基準をあわせ、エネルギー管理規定として定めてもよいです。
ア.事業者はその設置している工場等について、全体として効率的かつ効果的なエネルギーの
使用の合理化を図るための管理体制を整備すること。
イ. ア.で整備された管理体制には責任者(特定事業者及び特定連鎖化事業者にあっては「エ
ネルギー管理統括者」)を配置すること。
ウ.事業者は、その設置している工場等におけるエネルギーの使用の合理化に関する取組方針
(以下 「取組方針」という。)を定めること。その際、取組方針には、エネルギーの使用の合理
化に関する目標 、設備の新設及び更新に対する方針などを含むこと。
エ.事業者は、その設置している工場等における取組方針の遵守状況を確認するとともに、その
評価を行うこと。なお、その評価結果が不十分である場合には改善を行うこと。
オ.取組方針及び遵守状況の評価手法については、定期的に精査を行い必要に応じ変更するこ
と。
カ.事業者は、その設置している工場等に係る名称、所在地及びエネルギー使用量を記載した書
面を作成、更新、保管することにより、状況を把握すること。
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?判断基準の基準部分:事業場におけるエネルギーの使用の合理化に関する事項
事業場(専ら事務所その他これに類する用途に供する工場等)においては、事務所等で設置して
いる下記に示す主要な設備ごとに、エネルギーの使用の合理化に関する事項について定めてい
ます。
1 専ら事務所その他これに類する用途に供する工場等におけるエネルギーの使用の合理化に
関する事項
(1)空気調和設備、換気設備に関する事項
(2)ボイラー設備、給湯設備に関する事項
(3)照明設備、昇降機設備、動力設備に関する事項
(4)受変電設備、BEMSに関する事項
(5)発電専用設備及びコージェネレーション設備に関する事項
(6)事務用機器、民生用機器に関する事項
(7)業務用機器に関する事項
(8)その他のエネルギーの使用の合理化に関する事項 |
?判断基準の基準部分:工場等におけるエネルギー使用の合理化に関する事項
ここでは、主に工場等でのエネルギーの使用の合理化に関する事項を定めています。工場等にお
いては設備が多岐にわたるため、従来と同様に燃料の燃焼の合理化や廃熱の回収利用などエネ
ルギーの使い方ごとに、エネルギーの使用の合理化に関する事項について定めています。
2 工場等(1に該当するものを除く)におけるエネルギーの使用の合理化に関する事項
(1)燃料の燃焼の合理化
(2)加熱及び冷却並びに伝熱の合理化
(2-1)加熱設備等
(2-2)空気調和設備、給湯設備等
(3)廃熱の回収利用
(4)熱の動力等への変換の合理化
(4-1)発電専用設備
(4-2)コージェネレーション設備
(5)放射、伝導、抵抗等によるエネルギーの損失の防止
(5-1)放射、伝導等による熱の損失の防止
(5-2)抵抗等による電気の損失の防止
(6)電気の動力、熱等への変換の合理化
(6-1)電動力応用設備、電気加熱設備等
(6-2)照明設備、昇降機、事務用機器、民生用機器等 |
管理基準の意義
事業者は、国が定めた判断基準に従って、エネルギー使用合理化のための管理基準(エネルギーの管理マニュアル)を作成することが必要になります。
この管理基準には、特に国が定めた様式などはありませんが、事業者は判断基準に従って、基準部分に規定されている事項を遵守するための内容をマニュアルとしてしっかり記載することが重要となります。
日常管理、計測記録、保守点検や設備新設にあたっての措置などを管理標準に具体的に網羅することが必要になります。従って、原則として、工場等ごとに管理標準を作成する必要がありますが、エネルギー管理指定工場等に指定されていない工場等に設置された設備であり、包括的に管理標準を作成できる設備(例えば、空調、照明、OA機器等)については、会社全体で包括的に管理標準を作成することも可能です。
既にエネルギー管理指定工場に指定されている工場等においては、従来のものをそのまま使うことも可能です。(ただし、管理標準に対応する判断基準の番号を記載している場合には、新しい判断基準の番号に対応させる必要があります。)
管理標準を定め、判断基準を遵守することはエネルギー管理指定工場等として指定されているかに関わらず、全てのエネルギーを使用し事業に営む者に対して求められていることに注意が必要です。
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